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卒業式で歌う合唱の伴奏

  忘れもしない1月下旬の日曜日8時半頃、望月音楽教室から電話がかかってきました。卒業式の合唱の伴奏をしたいという、小6の女の子のレッスンをして欲しいとの事でした。

その場にお母さんが居たので電話を変わってもらって、ちょっとお話をして、直ぐにレッスンを始めないと間に合わない判断したので、その日14時に来てもらうことにしました。

 

本来なら、最初にお母さんと子供さんとおしゃべりをして、教本を決めたり、レッスンの日時を決めたりと、レッスンを始めるのは次のレッスン日からとなります。

ところがその小学校では、伴奏をしたい子供がA子ちゃんを含めて3人居て、A子ちゃんはピアノは全くと言っていいほど弾けないのに、伴奏したいと立候補したとか。2週間後に誰が伴奏者に適しているか審査があると、お母さんは焦っていました。約束の時間になって、二人が玄関に入って来られた時とっさに、「今日からレッスンしちゃいましょうか?」という言葉が出てしまいました。「そうして下さい」

 

ばらばらに3枚持ってきた楽譜をつなげて楽譜を見やすいようにして、レッスンを始めました。

まず、どの程度弾けるのかなと「指の番号を知ってる?」「楽譜は読める?」「ドレミファソラシドは弾ける?」等色々質問してみました。

お母さんは申し訳なさそうに「本当に全然弾けないんです!」と・・・引き受けたからには、とにかくやるしかない!!

 

 

「旅立ちの日に」という曲、前奏がかなり難しい曲です。

その日、前奏の部分を2小節を、つかえながらもやっと一人で弾けるようになりましたが、その後を覚えさせるのはちょっと困難だと思ったので、歌の入るところから4小節を教えました。「とにかく次のレッスンまでに音符に音名をふっておいで。ト音記号もヘ音記号もUFの形の音がドの音だから、そこから数えればわかるでしょう!」それから審査の2月6日迄、レッスン日を一日おきに入れました。

 

 

次のレッスン日、沢山練習をしたような形跡がありましたが、音符に音名が1小節分位しかふってありません。

レッスンは、前奏の続きの2小節と歌の部分の続きの4小節。それから、A子ちゃんが音名をふるのは難しいのだろうと思い、私が楽譜全部にふってあげました。この様にレッスンの度に少しずつ、一人でも家で練習できるように指導しました。

 

途中で諦めるかなと思っていましたが、とても良く頑張って練習をして来るので、A子ちゃんのレッスンが段々楽しみになってきました。何回目かのレッスンで、つっかえながらですがとうとう最後まで一人で弾けるようになりました。

 

3月18日の卒業式には間に合うかもしれませんが、2月6日の審査には危ない・・・でも選ばれた生徒が何かの事情で(コロナ禍なので)できなくなった時の為に、予備の伴奏者も選ばれるかもしれないと密かに期待をしていたのですが、不合格だったとお母さんから連絡がありました。

あんなに頑張ったのにと、大変可哀そうに思いましたが、大人になってから良い思い出になるでしょうね。